サブゼロ処理は、浸炭焼き入れ後、焼き戻し前に製品を0℃以下にする処理です。何故0度以下にするのかというと、不良組織の改善です。焼入れ後、製品の組織は硬度が高いマルテンサイトという組織になります。マルテンサイトになると硬度が高い事で耐摩耗性が向上します。しかし、80%くらいはマルテンサイトになりますが、残り20%はオーステナイトという組織が残ります。これを一般的に残留オーステナイトと言います。このオーステナイトは硬度が低く、耐摩耗性が低くなります。
また、このオーステナイトは熱処理から数年後、自然にマルテンサイトへ変化します。この変化は金属結晶の構造が変わる為に製品では寸法が変化してしまい、摺動部品では異音など、トラブルの要因となります。(これを時効といいます)。この20%残った残留オーステナイトをマルテンサイトにするのがサブゼロ処置です。
オーステナイトは-63℃以上でマルテンサイトに変化する為、強制的に冷却してマルテンサイトにします。サブゼロでマルテンサイト化した組織は硬度が上昇し、これに伴い耐摩耗性も向上する他、後のオーステナイト⇒マルテンサイトへの変化を防ぐことができます。